ツイッターの恋愛140字お題(こちら)をもとに書いた小説まとめ。
本文は全て140字以内。お題は「シチュエーション」「行動」「キーワード」







寝坊で遅刻が確定した俺が敢えて遠回りで出勤した朝、河辺の遊歩道で桂木と遭遇した。ベンチに腰掛けた桂木が大きな紙袋を抱え、朝食のために遅刻すると言うので、思わず笑ってしまった。お裾分けの肉まんを口にした俺は、光る川面に目を細めた。こうして朝食を食べる時間が永遠なら良いのに、と。
「朝の遊歩道」「貪る」「永遠」










待ち合わせのカフェで珈琲を飲んでいると10分遅れで桂木が現れた。俺の姿にホッとしたのか笑って挨拶を返すなり、あと数歩のところで足をもつれさせた。思わず抱き止める。真冬だというのにその手が汗ばんでいる、と気づく。全力疾走で来てくれたことに口を緩ませながら、反った背中が悲鳴を上げた
「昼のカフェ」「抱きしめる」「汗」










朝4時の床の上で匪口は目覚めた。暑さに体力を奪われソファで寝た後、寝返りで落ちたのだ。無意識に開いたケータイを、弥子がまだ起きてないと察し閉じた。一方弥子は試験勉強を終え潜り込んだベッドで、まだ匪口が寝てると考え未送信メールを削除した。ケータイを握りしめた2人はそっと目を閉じた
「早朝の床の上」「すれ違う」「試験」










日課の通話で日付が変わり、電話を切りかけると唐突に桂木がお願いがあると言った。ついていったのは暗い路地裏で、不安げな桂木は木の枝に結ばれた制服のリボンを発見し安堵した。その顔に俺も力んでいたと気づき、俺のおかげという言葉に、俺でも桂木の不安を共有し軽減することができるんだと思った
「深夜の路地裏」「共有する」「制服」










近道で神社を横切ることにした。鮮やかな夕焼けの中、つ、とすれ違い旋回した赤とんぼが灯篭に止まる。桂木が指を回し、こうすれば目眩を起こして動けなくなると呟く。逃げたとんぼを追う桂木に向けて指を回す。好きになれ、と念じると桂木は、さすがに目眩は起こしませんよ、と笑った
「夕方の神社」「好きにする」「目眩」










障子越しに漏れた朝の光に匪口は目を覚ました。冷えた畳に頬刷りする顔を上げればうつ伏せの姿勢で伸ばした指先に弥子の手があった。まどろみつつ手を重ねれば握り返す感触がして、甘えるようにその体に耳を寄せる。響く心音に瞼を伏せ、今この瞬間を新たな誕生日として書きかえられればと曖昧に願った
「早朝の畳の上」「手を繋ぐ」「誕生日」