言おう。今度こそ言おう。ちゃんと真面目に告げよう。
俺は家の電話の受話器を手に取った。かける番号は、もちろん桂木のケータイ。桂木の家の電話番号なんて無理だ。
ハッキリ、直接、桂木に言おう。
俺はダイヤルボタンに指を伸ばす。
桂木が出たら、まずなんて言おう。
とりあえず名乗らなくちゃダメだ。いつものノリで軽く言おう。
いや待てよ。軽々しく話を始めて、本題を切り出せるか分からない。
桂木のことだから、普通に気づかないまま話を続けるだろう。切り出すのは俺だ。
どうやって切り出そう?さらっと何でもないように言おうか。
それとも「大事な話がある」とかドラマみたいに急に真面目に言ってみようか。
待てよ待てよ、そんな度胸、俺にあるか?
やっぱり名乗るときから真面目に言ってみようか。
そうすれば、いくら鈍い桂木でも察してくれるだろうか。
いや、前にそれで桂木に「お腹痛いんですか?」って心配されたことがあったっけ。
じゃあアレか、単刀直入に本題だけ口にして電話を切ればいいのか。
それじゃ、ただのイタズラ電話と勘違いするかもしんねぇし…大体、桂木どこにいるんだ?電話できる状態なのか?
くそー、こうなるんだったら前々に桂木に電話するって言っておけば良かった…!!
いや、でもケータイだったら留守番の機能あるし、メッセージだけでも残せれば良いって考えよう!
俺はダイヤルボタンをゆっくりと押す。
番号を間違えないように、ゆっくりと、1つ1つ確認しながら、口に出しつつ押していく。
ピ、ポ、パ………………あと1つ。
心臓が騒ぐ。心音がウザいくらい響いている。
押す…っ、いや、押せっ俺の指!!何で動かねぇんだ、動け、このやろ!
ピッ とぅるる………プツッ
「只今電源が入ってないか、電波の届かないところに…」
「……!!?」
「ピーッという音の後に、メッセージをどうぞ」
「…っ」
ピ―――――――――――――ッ