目の前に広がるネット画面の上部。
検索エンジンの入力フォームにいつものように、その4文字を入力する。
『桂木弥子』
カタッとエンターキーを押した瞬間、パッと画面が切り替わる。
『検索結果1万2千件』
俺はデスクに頬杖をついて、更にワードを入力した。
『探偵 女子高生 目撃情報 検索結果 126件』
マウスに手を伸ばし、一番上に現れたリンク先をクリックする。パッと黒い画面が表示される。
シンプルな掲示板に、たくさんの書き込みがされている。記事の中身に目を通す。
『弥子たん可愛いよ』
たんづけすんな。
『大食らいでも俺が一生食わせてやる』
アイツの食欲ナメないほうが良いよ?
『この前近所のコンビニで万引きしてるの見たぜ』
思わずスクロールする手が止まった。その一文によって胸の奥から怒りが滲み出はじめる。
画面を睨みながら椅子に座りなおす。
このやろう。ふざけんな。
気づけば、ものすごいスピードで両手が動いていた。
ハッと我に返った時には、既に画面が真っ黒になっていた。
「あ…またやっちまった…」
大きく息を吐いてネット画面を閉じた。
最近の俺は変だ。こんなことを毎日やって一日に少なくとも2回はページをブッ潰してる。
その理由は分かりきってる。だからこそタチが悪いんだよ。
こんなことしたって桂木が俺のものにならないって分かりきってるんだよ。
でも実際は、こうして桂木のデマを流すサイトを潰す自分がいる。
馬鹿馬鹿しさを通り越した自分の行動に、いっそ自分で乾杯。